第91回〜100回

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第91回  新宿で仕事が終わって、赤坂へ移動しようと地下鉄に乗った。ちょうど止まっていた電車に乗ると、なかなか発車しない。そのうち、地震のため運転を見合わせていると言う車内放送があった。朝から会員さんを指導して、新宿御苑ウォーキングもしたので、疲れていたから動くまで気長に待とうと思った。

 そこへJR駅に向かったスタッフから電話で、「地震で電車が全部止まってますけど大丈夫ですか?」と聞かれ、初めて大きな地震があった事が分かった。「地下鉄も動かないから、車内で待ってるよ」と応えると、一瞬の沈黙の後「地下から出た方がいいんじゃないですか?」と言われ、そんなものかと思ってタクシーを探しに地上へ。

 ところがタクシーは全く捕まらない。これは歩くしかないと覚悟して、まずコンビニへ。パンと水を買って、エネルギー補給してから歩き出した。途中、延々タクシーを待つ人や、地面に座り込む人を横目に、やっぱり、災害時は判断力と体力が勝負だと思いながら歩いた。でもいくら涼しい夕暮れと言えども歩き疲れて泣きが入った。
第92回  庭で昼寝をしていると「ムガ〜ウ、ムガ〜ウ」と変な鳴き声が聞こえてきた。片目を開けてみると飼い猫のゴクウだった。怪我でもしたのかと慌ててよく見ると、何とスズメをくわえて、見せにやって来たのだ。僕に見せた後、ゴクウは家の中に入り、スズメを床に落としたが、まだ生きていたから大変。スズメが家の中を飛び回り、ゴクウはまた捕まえようと追い掛け回し、僕は窓を開けてやっとの事でスズメを外へ逃がした。

 しばらくするともう一匹のメイも帰ってきた。おとなしいと思ったら、その口にはセミ。普通の猫の2倍くらいエサをあげても、なぜかいつもお腹を空かせている2匹は、生まれたときから人間に飼われたのに、自分たちで食べ物を捕るハンティング猫となった。その上、僕が汗をかいていると、塩分補給とばかりに僕をペロペロ舐める、サバイバル猫でもある。

 最近、家にはゴキブリがいなくなった。いつも僕をおいしそうな目で見るかわいい猫達だ。

第93回

 先日、講道館で柔道の練習していたとき、なかなか強そうな相手に当たり夢中で取り組んでいた途中で、手が何だかヘン。ぶつけたのかと見てみると、左の薬指が少しゆがんでいた。突き指かと思って、少し引っ張ってからまた組み合った。

 しばらくやっているとまた手がぶつかったようで、痛い。見てみると薬指が第2関節から小指の方へ90度、あり得ない角度に曲がっている。痛いよりもなにより、自分の手ながら気持ちが悪い。折れてはいないようだし、このままでは都合が悪いので、エイヤっとまっすぐに戻して、また練習を続けた。

 練習が終わるころには指がどんどん腫れてきて、家に着くころには色も変わってきた。手の感覚が無くなるまで、氷水に浸けてから湿布して寝た。翌日は青黒かった指が紫や黄色でなんともカラフルになり、薬指が“きりたんぽ”みたいに腫れていた。アイスクリームの木のスプーンを添え木にしてテーピングしたり、湿布したり、冷やしたりして、その後2週間が過ぎ、薬指は真ん中にお団子が付いているみたいになり、色も青みがかった灰色になった、形はお団子でもあんまりおいしそうではない。ちなみに青は食欲を減退させる色だそうだ。
第94回  趣味の一つ、コンピュータ歴は30年以上になる。リンゴのマークのコンピュータは初代から使い続け、過去の機種はコレクションになりつつある。しかし最近では、新機種やバージョンアップを買い続けるのに疲れていた。僕のレベルでは、最新のプログラムは使い道が無いまま持て余している状態だ。最近話題の『iPod』も警戒して、自分には使い道が無いと言い聞かせて近寄らないようにしていた。でも「ちょっと見てみようかな」とお店に行くと我慢しきれずにとうとう買ってしまった。色々な使い道がある事が分かると、スピーカーやらアクセサリーやらもろもろまとめて買って、本体の倍以上の金額になってしまった。

 あれから一ヶ月、ipodの使い道を思案中。スピーカーやアクセサリーは未だ箱の中。それでも本体は毎日持ち歩いているけど、それももったいないのでこれからはイヤホンをさして聴いている振りくらいしてみようと思う。僕も電車の中では、トレーニングウエアでリュックしょってメガネもかけているから、iPodを加えれば立派なオタクに見えるだろう。何でも最近はオタクがエラくモテるそうだから。イヤホンをした姿がかつてのウォークマンのCMに見えない事を期待して…。

第95回

 最近、僕の周りで超常現象が起こっている。何か悪い霊でもついているような気がする。
 始まりは出張先から帰ると腕に時計が無かった事。次も同様で家に帰るとサングラスが見当たらない。その次はレストランで食事をした帰り、店の前に止めたバイクに乗ろうと思ったら鍵が無い。そして昨日は携帯電話が無くなった。

 バイクの鍵以外は後で見つかったし、鍵は家にスペアキーがあったから、困らなかったけど、とにかく時間と労力がかかった。どうしてこうも続くのかと思うけど、たいていは無くした場所の見当がつくからまだいいのかもしれない。だけどそのうち無くした場所が思い当たらない事もあるだろうし、無くした事にも気が付かないかもしれない。想像すると不安だが、無くした事に気が付かなければ、困る事も無いのだろう。そう考えると気が楽になる。人間はこうやって自分の失敗や問題を忘れながら生きて行くのだろう。これこそが進化論だ。
第96回  最近のテレビのドラマや映画で、僕は悪人で逮捕され、ナイフで刺し殺され、揚げ句にはバズーカで殺された。昔、ゴジラに出たときも宇宙人の役で最後には焼き殺された。

 テレビのバラエティでは相変わらず力比べで、相撲や腕相撲やらで、多分何とかして映画やドラマ以外の現実でも僕をやっつけたいらしい。新年早々、またお相撲に借り出された。因縁の対決などと言われ藤原組長と取り組んだ。確かに8年前は僕が勝った筈だが、今回はきれいに投げられた。聞くと藤原さんはその8年分の恨みを晴らす為にやって来たそうだ。

 その後は周りのうるさいこと、この上ない。「何で負けたんだよう?」と100回ぐらい聞かれた。藤原さんとは勝ったり負けたりの勝負だから気にしていなかったのに、周りから言われるたびに僕は不機嫌になっていった。どうりで藤原さんが根に持った訳だ。今度は僕の番だ。次は負けないぞ。

 勝っても負けても戦い続けるぞ!と今年の誓いを立てた。

第97回

 先日柔道の帰り道、バイクで走っているとなぜかタクシーが僕に向かってくる。車線を変えてよけてもまだ向かってくる。3車線分移動して逃げ場がなくなり、これはあわや衝突!と思って、思わずバイクを倒して接触は逃れた。必死の受け身も速度と道路にはかなわず、防寒具一式破いて、両ひじ、両膝をすりむいて、左足首は剥離骨折の重症だ。

 タクシーの運転手さんが信号を見間違えた様だ。JR駅前の交差点だったからお巡りさんと監視カメラが目撃者で僕の無罪は証明された。お巡りさん達は監視カメラのビデオを観ながら、倒れ方がうまかったと褒めてまでくれた。

 僕は無罪だったし、バイクは壊れるワ、怪我はするワで、被害者は僕なのに、なぜか周りの人はあまり同情してくれない。みんなが心配していたのは、加害者のタクシーの運転手さんで、僕が暴れて被害者から加害者になってしまったのでは無いかという事だった。

 事故の後は、書類を届けに警察へ行ったり、病院へ行ったり、保険会社に連絡したり、バイクを修理に出したり、新しい服を探したり(これが一番大変なんだ)、とにかく面倒で大変だったんだ。それでも暴れなかったし、ちゃんと後始末したし、僕はホントに被害者なんだってば!
第98回  顧問先のフィットネスクラブの営業で、数件の保育園を訪問した。保育園では子供たちと腕相撲大会。もちろん数人の子供たちと同時に腕相撲をして最後には「マイッタ〜」と大げさに負けて床に転げる訳だが、そこからが本当の勝負だ。子供たちは待ってましたとばかりに「ワーイ」と一斉に僕にのしかかって来る。乗った上で飛び跳ねるわ、叩くわ、蹴るわ、やりたい放題。まるで僕は大きなぬいぐるみだ。いくら相手が子供でも痛くないわけはない。それでも怒るわけにもいかず、涙目になりながら、「可愛いね」と言わなければならない。

 僕もたまには自分より3倍ぐらい大きくて、恐くない相手をボコボコにしてみたいものだ。でもお母さん達、子供には小さなものだけでなく大きなものにも優しくするよう教えてあげてね。

第99回

 ロバート・ソウヤーの、ネアンデルタールが並行宇宙に存在していて相互の世界が交流すると言う小説があって、面白くてシリーズ3冊を一気に読んだ。

 近未来を描いた小説や映画は沢山あるけど、この話の中で面白いのが、ネアンデルタールの世界では自然が沢山残っている(マンモスまで生きている)のに、科学はクロマニヨンの現代より進んでいる点だ。戦争が科学の進歩に貢献したと言われる現代だが、ネアンデルタールは戦争はせず、人種差別も性差別も無く、必要な技術のみ進歩した結果だ。

 ネアンデルタールは、コンパニオンインプラントと呼ばれる人工知能を持ったコンピュータを体の中に取り付けている。このコンパニオンが言語の翻訳から、健康管理、もちろんスケジュールや他のコンパニオンとの連絡まで何でもやってくれる。その上、個人の行動全てがコンパニオンを通して記録されるため、犯罪の起こらない世界になっている。

 鉄腕アトムもこのインプラントを内蔵していたし、現在でも携帯電話の機能はかなりこのコンパニオンに近づいている。セキュリティの問題が解決されれば、ペットの様にICタグとこの機能が体の中に埋め込まれる日もそう先の事ではないのだろう。身分証明証や各種のカードを持たなくて済み、家の中のリモコンが減り、様々な暗証番号やパスワードを覚える必要もなくなり、何とも快適な生活が期待される。携帯電話もスケジュール帳もペンも持たなくていいし、失くす心配もなくなる。

 ただし、僕の様に柔道や格闘技をする人は特別仕様の強化型を用意してもらわないと、すぐに壊して怒られそうだ。
第100回  四苦八苦しながらも100回を迎えた。めでたしめでたしと言うことで各コーナーはいったん終了。でも僕のコラムだけは継続するのでよろぴく。

 コラムに何度も出て来た家の子供達は、ちょっと高齢のミーグルズが甘えん坊になったけど、悟空とメイちゃんは相変わらず元気で駆け回っている。ところがゴクウは時々病気になる。本人は全く気にしていないようだが、僕は病院へ連れて行ったり迎えに行ったりと大わらわだ。

 先日もゴクウのオシッコに血が混じっているのを見つけて、慌てて入院させた。検査の結果、薬を飲めば大丈夫との事で連れて帰ってきた。毎日の薬は意外と嫌がる事も無く、口に入れてやれば素直に飲み込む。何でもおう盛に食べるゴクウの特典だ。それ以外全く元気で走り回っている。

 退院5日後、僕がキッチンで冷蔵庫を物色しているとゴクウがやって来て、食器洗い機の上でおもむろに排尿の構えに入った。「そこはトイレじゃナイゾ」と、慌ててゴクウを仰向けに抱いて連れていこうとすると、僕の目の前に噴水が現れた。何と仰向けに抱かれたまま僕の目の前で放ったのだ。自分のトイレ以外に洗面所やお風呂場など、水の流れるところで時々していることはあったが、見つかって連れていかれる時にしたのは初めてだ。それにしている時の顔つきは何とも得意げで“見て、見て!”と言わんばかり。そこで僕は気が付いた。ゴクウは自分の病気が治った事をきれいなオシッコを僕に見せることで証明したのだ。

 家の子はやっぱりホントに賢い。これだから猫の親はやめられない。

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